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初体験

 ――人生で一度だけ、「妖精」というものを見たことがある。……正しくは、妖精らしきモノ、なのだけど。
 何年も生きてきた中で、私はその時までブリックパックの持ち手にする三角の部分を一度も剥がしたことが無かった。
 それは何の気なしに「別に剥がさなくても飲めるし」という幼少時代の発想がなんとなく続いてきたものであり、いつ終わってもおかしくない習慣だった。


 そして終わりの時は、予想を裏切らずあっけなく訪れる。確か二十を越えてしばらくした辺りだったか。その日私は会社で普通に昼食を摂っていた。コンビニで買ったサンドイッチに牛乳。買い物をした時にやっていたキャンペーンか何かのスピードくじをひいて野菜ジュースの小さいやつがあたり、先にそっちから飲んでいた。
 サンドイッチを半分ほど食べたところで野菜ジュースを飲み終わり、牛乳を飲むかと手に取ったときにふと目に入るあの三角部分。

 その時だ。よく考えたら私、ここを剥がしたこと一度も無いんだよなぁと意識に上ったのは。ブリックパックの三角部分なんて、一度も剥がしたことが無いなんて人間じゃなくても普通注意して見たりしない。だからその時私が注視したのは、偶然……勿論偶然なのだろうが、その後に起こったことを考えるとただの偶然ではなかったのではないか、なんて勘繰ってしまう。


 私はぺりぺりと三角部分を剥がした。なんとなく勿体ないような気がしたが気のせい以外の何物でもない。誰に褒められる記録でもないのだ。
 牛乳のブリックパックを手に取り、ストローを刺して口に運ぼうとしたその瞬間。ぽわん、と、右の方からファンシーな音がした。
 訝しく思った私はちらりと音のした方へと首を捻り、そして固まった。


 ――体長がおよそ15㎝程の、女の子が立っていたのだ。


 あまりの驚きに思考と体が硬直する私に女の子は微笑みかけた。それはまるで野に咲く一輪の可憐な花のような笑顔で、数瞬の後には驚きよりも彼女の微笑みに対するときめきが勝っていた。

 蜻蛉のような薄い羽。人形では断じて有り得ない、質感と存在感を持った、それこそ人間の美少女をそのまま縮めたような女の子は、固まったままの私にもう一度微笑みかけると、小さな声でこう言った。

(はつたいけん、おめでとう♪)

 鈴の鳴るような、耳に心地良い声だった。じんわりと、声が耳から体に浸透していくような錯覚に私が浸っていると、女の子は私としっかり視線を絡ませて、小さく手を振った。たぶん、ばいばい、って言っていたと思う。
 私に背を向けた女の子は、またぽわん、というファンシーな音と共に煙に包まれ姿を消した。



 それからだ。私が飲み物をブリックパックでしか飲まなくなったのは。
 はつたいけん。あの場で初体験といえばブリックパックの三角部分を剥がしたことに他ならない。彼女はきっとブリックパックの妖精だった。誰に話しても笑われる話だが他に考えようがない。
 はつたいけんおめでとう、ってことはつまり記念のおめでとうコメントをするために彼女は現われたのだ。じゃあ次の記念はなんだ。百回目か。千回目か。それとも一万回か。他に条件があるのか。考えて、考えて、思いつく限りを試して、他人の初体験にも立ち会って、それでもまだ、なんでだ未だ、君に会えない。君に、会えない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 

 もう一度、君の笑顔が見たいよ。
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流れてく流れてく月が流れてく日は沈む

 水のビームで洗い流すように。
 お腹いっぱい口に押しこむように。
 詰め込んで、詰め込んで、ぽっかり開いた底なし孔に。
 急がなきゃ。居もしない敵に追いつかれてしまうと、必死に走り続ける感情の骸骨。 
 
 救済と祈り。無明の闇に、己の知覚唯一つ。
 ああ、痛し形無し。オチもなし。
 

きみの孤独に寄り添うモノは

 TRPGセッションというものにありがたくも誘って頂いたので楽しんでいます。終わるまでは死ぬのやめよう。
 
 自分の処理能力というかリソースというか、そういうのをいっぱいいっぱいに使っていると加速度的に鬱めいてくる。常にタスク欄に空白を。
 こびりついた汚れのようにずっと付きまとう人生惨めだ、生きてて虚しいという想い。かなしみの居場所をどこかに作ってやりたかった。

その死に様を看取りたい

 アニメを見るという行動。選択。
 己が弱点を不特定多数へ曝け出す精神的リストカット。
 仕事を初めて途端、急にまた心が不安定になった。
 鈍っていたぶんのツケなのはわかっているけどつらい。
 身内に軽く愚痴れば腐れ正論で滅多打ちにされる。
 何も考えず眠り続けたい。
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